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リリース 2023.11.21

〈土壌の発酵脱臭〉畜産技術による土地改良で地域貢献 ― 家畜糞尿や不完全な堆肥による悪臭が広がる地域に向けて事業開始

急速発酵 脱臭資源化システム「ERS」を製造・販売する株式会社JET(東京都千代田区)は、提供先であるべるちゃんたちのおうち株式会社(山口県下関市)や株式会社トップファーム (北海道常呂郡佐呂間町)などにて、家畜糞尿を処理した液肥や敷料の利用から土壌の脱臭効果の持続を示す実証結果を確認しました。さらに、臭気のある土自体をERSで発酵処理して土地に戻すと同様の効果が得られることから、2023年11月より自治体向けに土地改良 を目的とした営業を開始いたしました。

1. はじめに | 臭気と土地の価値の連動性

家畜糞尿は、堆肥化など適切な処理を経て、肥料や土壌改良資材としての有効活用が期待できる貴重な農業資源です。しかし、不適切な管理や不十分な発酵のまま散布を重ね、畜産が盛んな地域では悪臭が広く発生して問題になっています。これらは、現場の労働環境や周辺の生活環境だけでなく、臭気に不慣れな観光客にも影響を与えます。さらには、国外からの投資が活発であり、産業誘致・観光誘致として価値が上がる機会に恵まれるなか、地域一体に広がる悪臭で土地の価値が上がらず、農家の収益機会を逃してしまうことが懸念されます。このような状況を改善するためには、土壌から臭気のもとを手間なく取り除き、その脱臭効果を持続させる必要があります。

2. 実証① | べるちゃんたちのおうち社/液肥の成果物

2023年3月にERSを設置したべるちゃんたちのおうち株式会社は、乳牛の糞尿を活用して臭わない液肥を製造しています。もとより同社は、牛乳の需要が低迷する昨今において、従来通りの堆肥化・敷料化ができることに加えて、液肥が生成できる利点から導入を決定しました。乾燥せずに液肥にすることで、燃料代を軽減し、経費削減にも繋がっています。2023年10月、約7か月間の稼働を経て、計画通りの処理と悪臭のない成果物を確認し、堆肥舎においても悪臭の解消と脱臭効果の持続を実証しました。今後は、外部への散布に加え、液肥の販売も検討しています。

処理物乳牛糞尿
処理能力25トン/日
処理装置5U型
成果物液肥・堆肥
導入場所山口県下関市
導入時期2023年3月
活用補助金畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(施設整備事業)
特記事項山口県酪農農業協同組合の組合員
概要

3. 実証② | トップファーム社/固形の成果物

自然環境に負荷をかけない循環型農業を目指す株式会社トップファームは、アニマルウェルフェアを重視した方針のもと、ストレスフリーな環境で牛の成長を支えるため、2022年3月にERSを設置し、肉牛の糞尿を活用した敷料を製造しています。その際のコメントには「SDGsなど企業の社会的貢献を重視する消費者にとって『環境保全への投資』は商品選択の重要な要素になる」とし、糞尿を発酵乾燥させ、牛舎の敷料に再活用したり、牧草の畑に還元したり、さらに堆肥として近隣農家に提供しています。従来、牛舎での悪臭は当たり前でしたが、牛もくつろぐことができ、訪れる方々は驚きの声をあげます。2023年10月、約19か月間の稼働を経て、計画通りの処理と悪臭のない成果物を確認し、牛舎において悪臭の解消と脱臭効果の持続を実証しました。 

処理物肉牛糞尿
処理能力75トン/日
処理装置5U型(3台)
成果物敷料
導入場所北海道常呂郡
導入時期2022年3月
活用補助金畜産・土づくり堆肥生産流通体制支援事業
概要

4. 特長 | 臭いを抑えつづける、「持続的」な脱臭機能をもつ微生物の力

JETが製造・販売する急速発酵脱臭資源化システム「ERS」は、微生物による高速発酵脱臭処理(好気性発酵)を行います。    従来は数か月ほど要する家畜糞尿の処理プロセスが、ERSであれば密閉状態下たった数時間で悪臭のもとを分解して敷料や液肥を製造することができます。これらの使用により、牛舎の脱臭が可能であり、さらに堆肥として散布した土地の改良に繋がります。

さらに、臭いが滞積している土をERSの発酵処理で脱臭して土地に戻すことで土壌改良することもできます。定着した微生物は補充や交換を行うことなく働きつづけるため、成果物の脱臭効果が持続します。

▶ ERSによる成果物の”5大”メリット

  1. 好気性発酵: 畑の土にやさしい肥料となり耕作農家からのニーズが高い
  2. 汚水の発生抑制: 微生物による発酵熱分解で水分が蒸発
  3. 悪臭の発生抑制: 殺菌・発酵済みの液肥で、堆肥舎に悪臭が発生しない
  4. 発酵期間の短縮: メタンガス発生が少なく、従来よりも短期間で完熟堆肥化
  5. 温室効果ガスの抑制: 短期発酵で炭酸ガス由来のメタンガスの発生を抑制

5. 展望 | 設備を常設しない選択肢

今後は、特定の場所にERSを設置するだけでなく、移動型設備の提供を計画しています。すでに汚染されて悪臭が出ている場所にはERSを持ち込み、その場で脱臭処理を行うことが可能になります。溜池や川の汚泥、ごみの埋立地など、地域が抱える課題に寄り添う展開を図ってまいります。

私たちは、都市生活ごみ、おむつ、し尿、水、汚泥、家畜糞尿、野菜くず、食品加工残渣、廃棄食品、建築廃材、街路樹や山の剪定枝、刈草、雑木など、これまで廃棄物として処分されてきた物を無駄にせず、貴重な未利用資源として活用することで最大限に地域の環境効率性を高め、循環型社会の構築に貢献します。

6. システム概要

ERS は、設置場所の周辺に生息する土着菌を活用し、対象物を1日で殺菌・発酵・乾燥して資源に変えるシステムです。また、ERSの資源化処理により生成した成果物は、含水率の低い良質な燃料や堆肥、肥料、飼料、敷料として利用できます。ゼロエミッションの実現に、ERSをご活用ください。

▶ ERSのコア技術=環境微生物の選択利用

  1. 設置現場周辺の土壌から普遍的にいる環境微生物を選択的に培養。
  2. 微生物を本体に定着させ、設置以後、補充や交換は不要。
  3. 運転停止・再開後も菌の補充等不要。

▶ 特徴

  1. 装置がシンプル。複雑な前工程(水分調整等)、臭い対策、後工程(熟成等)が不要
  2. 環境微生物使用で、菌の持ち込み、補充が不要(菌床交換なども不要)
  3. メンテナンスが楽(構成要素が少なく、故障が少ない。耐久性も高い)
  4. 省スペース(施設維持に費用がかからない) 
  5. 無排水(排水処理に費用がかからない)
  6. ごみの大幅な減容化が可能(運搬費用の節約可)
  7. ごみの乾燥によってハンドリングも楽
  8. 栄養価の高い飼料又は肥料が製造可能(販売対価を得られる)
  9. CO2の削減、既存設備への適合など発展性や応用性が高い

▶ ERS 5つのサイズ展開と最大処理能力

【特許情報】

微生物、微生物含有組成物、並びに、該微生物を用いた有機肥料の製造方法

 [日本]特許第4153685号(2008年7月11日登録)

処理対象物の発酵乾燥による燃料化装置及び燃料化方法

 [日本]特許第6763575号(2020年9月14日登録)

 [中国]ZL2018 8 0052014.4(2021年9月10日登録)

 [フィリピン]1-2020-500383(2022年4月19日登録)

装置に使用する微生物も特許微生物

装置を設置する現場周辺から採取した環境微生物のうち、特定の3種類をERSでの発酵・乾燥に利用します。これらの微生物は、特許微生物として独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(IPOD)に寄託しています。

【関連プレスリリース】

2023年11月16日
【期限延長】 設備投資で即時償却又は税額控除、有機物系廃棄物の再資源化で中小企業経営を強化
― 家畜糞尿・食品残渣・植物残渣・汚泥等をERSで急速発酵乾燥https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000085654.html

2023年10月30日
〈臭わない液肥〉山口県で製造・散布実証、乳牛糞尿を高速発酵処理
― 今後、畑の環境改善、観光障害の解消に期待https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000085654.html

2022年12月16日
【1日で牛糞を発酵液肥に変える】山口県酪にて液肥化来年4月スタート
~畜産クラスター事業で悪臭・排水の出ない糞尿資源化装置ERSを導入~https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000085654.html

2022 年 4 月 7 日
『畜産クラスター補助金事業』活用による急速発酵乾燥資源化
~装置 ERS の導入先 2 件、 3 月設置工事竣工のお知らせ~ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000085654.html

2022 年 3 月 7 日
敷料再生装置、寒冷地で発酵熱 70°Cの安定処理を実証
~零下でも凍結なく病原菌等を死滅させ、肉牛糞尿を完熟堆肥に~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000085654.html

2021 年 12 月 28 日
【畜産業界が注目】急速発酵乾燥資源化装置ERSに新・特許技術導入 ~1台で「日常時の家畜糞尿処理」
「感染症発生時の死畜処理」共に堆肥化可能に~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000085654.html

2021 年 10 月 13 日
肉牛糞尿の高速資源化で、おが粉購入費 42%削減を達成
~敷料再生装置の稼働後 1 年経過、畜産農家の効率経営を支援強化~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000085654.html

【会社概要】

会社名:     株式会社JET
所在地:     東京都千代田区一番町19 全国農業共済会館4階
代表者:     片山智之
設立:        平成25年8月
資本金:     50,000,000円
事業内容:  急速土着菌増殖乾燥システムERSに関する以下の事業
                -開発・製造・販売・輸出入・管理
                -適用・導入に関するコンサルティング
                -原料の輸出入
ウェブサイト:https://jet-e.jp/

【お問い合わせ先】
株式会社JET
〒102-0082 東京都千代田区一番町19 全国農業共済会館4階
管理部 広報担当 松本
TEL:03-5214-4395
E-mail:info@jet-e.jp